子どもに聞かせたい!タルムードの小話「魔法のザクロ」の内容とその教え・格言

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子育ての名言

ユダヤの聖典『タルムード』の小話、第一弾『魔法のザクロ』の内容と、このお話が伝えている教えや格言を紹介します。

ユダヤ人は、世界総人口のわずか0.2%ですが、世界の大富豪のうち実に30%がユダヤ人です。また、ノーベル賞経済経営学部門において受賞者の6割がユダヤ人です。

どうして彼らの中には、世界的な企業成功者や歴史に名を馳せる人物が多いのでしょうか。

それは彼らが、幼い頃から聞かせられ、読んできた『タルムード』の小話の中に、この世界をより賢く生きる智慧となる教えや考え方が隠れているからなのです。

彼らの輝かしい功績の土台には、語り継がれた教えを生き、体得した智慧が揺るぎなく存在するのでしょう。

この記事を書いた人
horie

人生に影響のある言葉を研究する主婦です。
家にある本は漫画を含めて1000冊を超え、「人生は思考から」をモットーに、歴史上の人物や漫画、スポーツ選手の言葉など様々なところから生まれる名言・格言を紹介します。

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はじめに タルムードとは?

タルムードとは、ユダヤ教の口伝律法と学者たちの議論を集めた議論集のことです。

他の言語に翻訳されたものもありますが、翻訳によって正確なニュアンスが伝わることが保証されないため、あくまでヘブライ語で書かれたタルムードのみを聖典としています。

タルムードという言葉は、古代ヘブライ語で「研究」「学習」を意味する言葉です。

内容としては、日常生活の習慣や医学、子育て、家庭のことなどあらゆることが記されています。

このタルムードの議論を、幼い子から大人まで理解し、納得できるように、ユダヤには膨大な説話が残されています。

タルムードに学ぶユダヤ式子育て

ユダヤの母親は子どもが幼いうちから、タルムードの教えにまつわる説話を繰り返し読み聞かせ、語って聞かせます。

そして、話はそこで終わらず、その説話に登場した人間や動物たちのとった行動を、「あなたならどうする?」と問いかけます。

子どもが答えると、「それはどうして?」とまた質問をします。

こうした議論を重ねることで、ユダヤの子どもたちは日常的にごく自然な形で、リスクコントロールやリスク分散を学ぶのです。

また、様々な視点から物事を捉える習慣がつき、幅広い視野で人生の課題に向き合うことができる考え方と智慧が身に着くのですね。

タルムードの小話『魔法のザクロ』の内容

あるところに仲良しの3兄弟が住んでいた。

兄弟がみな成人したので、10年間別々の場所へ修行の旅に出ることにしました。

出発前に、3兄弟はこんな約束を交わしました。

「10年後にこの家でまた会おう。そのときに、旅の途中で見つけた最も不思議なものを持ってくることにしよう。」

三兄弟がそれぞれ出会った、世界で最も不思議なもの

一番目の兄は東へ行きました。

途中で出会った旅人から「世界の隅々まで見えるガラスコップ」を買いました。

一番目の兄
一番目の兄

これこそが世界で最も不思議なものに違いない。

二番目の兄は西に行きました。

旅の途中で立ち寄った町で、じゅうたん売りに会いました。

そのじゅうたん売りから、「空飛ぶじゅうたん」を見せられました。

二番目の兄
二番目の兄

この空飛ぶ絨毯こそが世界で最も不思議なものに違いない。

二番目の兄はじゅうたんを買うことにしました。

一番下の弟は南に行きました。

どんどん南に進むと、森に出くわしました。

その森に入ると、1本のザクロの木があります。

この木には、花がたくさん咲いているのに、ザクロの実は1つしかなっていません。

三番目の弟は不思議に思いました。

3番目の弟
三番目の弟

変だな、このザクロの実は真っ赤に熟れているのに、1つしか実っていないなんて不思議だ。普通なら、実はいくつもなるはずなのに。

そして、ザクロを取ろうと手を伸ばすと、ポトンと実が手のひらに落ちてきました。

すると、また不思議なことが起こります。

三番目の弟
三番目の弟

この木こそ世界で最も不思議なものだ。

一番下の弟がそう思ったとたん、木はパッと消えてなくなりました。

しかし、手の中のザクロの実は残っています。

一番下の弟は、このザクロの実こそが世界で最も不思議なものだと確信し、この実を持って帰ることにしました。

10年後の再開

10年後、家に戻った三兄弟は、それぞれが旅の途中で出会った世界で最も不思議なものを互いに見せ合いました。

世界の隅々まで見渡せるガラスコップを覗くと、ある国のお姫様が病気で寝込んでいる姿が映りました。

その横で王様が嘆いています。

「誰か、誰かこの娘を治してくれる者はいないか…!」

これを聞いた3兄弟は、すぐに空飛ぶじゅうたんに乗って、お姫様のもとまで飛んでいきました。

お姫様が選んだ結婚相手

病気のお姫様を前に、一番下の弟は、これを食べればきっと元気になるに違いないと、ザクロの実を半分に割って、お姫様に差し出しました。

お姫様は、一口、二口と食べるごとにみるみる元気を取り戻していった。

王様は感激し、三兄弟にこう言った。

「お前たちは姫の命の恩人だ。お前たちの誰が姫と結婚してもよい。3人で話し合い、誰が結婚するか決めなさい。」

ユダヤの家庭では、一旦お話はここでおしまいです。
母親は子どもに次のような質問をします。
「さて、誰がお姫様と結婚するでしょうか?」
あるいは
「あなたがお姫様だったら、誰と結婚したい?」
ゆっくり時間をかけて考えてみましょう。
ユダヤ式教育は、子どもの答えを待ちます。子どもの答えに対して「なぜ?」と聞き、簡単に答えを言いません。頭を悩ませて考える過程が大切なのです。

ここからお話の続きです。

 

すると姫が話し出しました。

お姫様
お姫様

私に質問させてください。

お姫様は続けて言いました。

お姫様
お姫様

一番上のお兄さん、あなたは世界の隅々が見渡せるガラスのコップで、病気の私を見つけてくださいました。その望遠鏡のようなコップは今でも元のままですか?

一番目の兄
一番目の兄

はい、全く元のままです。

お姫様
お姫様

次に、二番目のお兄さん、あなたは空飛ぶ絨毯に乗って、いち早く私のところに駆けつけてくださいました。その絨毯は、今でも空を飛べますか?

二番目の兄
二番目の兄

はい、全く傷ついてもいませんし、今までと同じように空を飛べます。

お姫様
お姫様

最後に、三番目の弟よ、あなたは私にザクロの実を食べさせて病気を治してくれました。そのザクロの実は元のままですか?

三番目の弟
三番目の弟

いいえ、お姫様に半分差し上げたので、いまは半分しかありません。

お姫様
お姫様

決めました。私は一番下の弟と結婚します。彼は私のために大切なザクロの実を半分失ったのですから。

タルムードの小話『魔法のザクロ』が伝える教え

この小話で伝えたかった教えは次のとおりです。

自己犠牲なくして成功は得られない
ビジネスの世界においても、既存のものや考えを捨てて、新しいものを積極的に取り入れていく姿勢は大切ですよね。失う決断をしないと、その先の成功への道は開かれないことを表した格言です。
仕事でも、時間や労力と引き換えに賃金と安定した生活を得ていますよね。
これを「ノーペイン・ノーゲインの法則」と言います。
上の兄二人は、何も失うものがなかったので、何も得られなかったということなのですね。
実は3人が持ってきた世界で最も不思議なものは、それぞれあるものを象徴しています。
一番目の兄
一番目の兄

世界の隅々まで見渡せるコップ=知識・情報

二番目の兄
二番目の兄

空飛ぶじゅうたん=方法・手段

三番目の弟
三番目の弟

魔法のザクロ=自己犠牲・失うもの

目標を達成するにはどれを選択すればよいのか、それは「自己犠牲・失うもの」なんですね。
あなたは、保身になるあまり、手放すことを躊躇してしまってはいませんか?
目標達成のためには、ときには失う勇気も大切かもしれませんね。

筆者はお金の運用で、失うものがないと得るものもないことを実感します。元金をかけなければ投資は始まらないし、増え続ける投資なんてあり得ないのですから。だからこそ、得るものと失うものの対価を計り、リスクができるだけ小さくなるような戦略で運用しています。このタルムードには、お金に関する成功哲学がたくさん書かれているので、その考え方をぜひ活かしたいと思いました!

また、子どもでもイメージしやすく親しみやすいお話も多いので、読み聞かせて議論をしたいと思いました!絵本やお話を読み聞かせるだけで終わることが我が家は多いので、「なぜ?」を問いかけてみようと思います!

さいごに

いかがでしたでしょうか。

自己犠牲を伴わない成功は偶然に過ぎなかったり、決して長くは続かないでしょう。

「ノーペイン・ノーゲインの法則」は、極めてこの世の原理にかなっており、人生において何が大切なのかを私たちに問いかけています。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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