「日本近代経済の父」と呼ばれ、第一国立銀行を設立し、その他数多くの企業の設立に携わった渋沢栄一は、明治から昭和にかけて活躍した実業家です。
設立に携わった企業の数はなんと500以上にも及びます。
2024年発行の新一万円札の顔にもなりましたね。
彼は、生前に数々の金言・名言を残したことでも知られています。
渋沢栄一が言ったとされる、「40代、50代はハナ垂れ小僧」とは?
また、渋沢栄一の名著『論語と算盤』から学べる考え方とは?
他にも、渋沢栄一の短い名言、お金・夢・道徳に関する名言を紹介していきます。
彼の残した名言に込められた意味に迫っていきましょう!
渋沢栄一の40代、50代はハナ垂れ小僧に関する名言
六十、七十は働き盛り、
九十になって迎えが来たら、
百まで待てと追い返せ
渋沢栄一は91歳で亡くなるまで、精力的に活動を続けました。
この年齢は、当時では異例と言えるほどの長生きでした。
たとえ定年しても、仕事に限らず様々なことに挑戦し続け、人生を豊かにするための行動を自ら興すことの重要性を、渋沢栄一は伝えています。

筆者は30代の頃でももうすでに疲れ切っており、家事や子育て、仕事に日々終われ、心身が疲弊しもうたくさんといった気持ちでした。
でも共働きでないと生活できないし、かといって共働きでも決して余裕のある生活ではなく、これが一生続くのかと思うと、自分で選んだ人生の道なはずなのに楽しくない思いで一杯でした。
しかし、自分の人生、良くするも悪くするも自分次第。
自分で自分の人生の生きがいを見つけ、楽しくイキイキと生きる方法を見つけることが大切、自分が変われば何かが変わると、この名言から学びました!
渋沢栄一の短い名言

筆者も、人は生まれながらに天の使命をもって生まれてくると考えています。
人生とは方程式のようで、あるいは冒険のようで、使命を見つけ、そこに向かう中でいくつもの問題を解決し、自分自身が成長していくことができるからです。
その天命を「楽しんで生きる」という視点はなかったので、これは重要なポイントだと感じました!
筆者はどちらかというと、天命を果たすには辛く厳しいことを乗り越え、逆境の中で、言い過ぎかもしれませんが限界寸前を生きることで人は成長していくと考えていましたから。
でもそれが長く続いては身も心も持たないですよね。
人生を楽しく生きる方向に持っていく力というのもとても大切と感じました。
これは、どんなに優しく穏やかな人でも、時には自分の持つ主張や意見をしっかりと伝える必要があることを表した名言です。
柔軟で、物腰が柔らかすぎたり、他人を思うあまり相手に合わせすぎてしまうと、周囲の意見や雰囲気に流されてしまいます。
伝えるべき場面で、自分の考えていることを堂々とよどみなく伝えられることは大切ですね。
長所と短所は紙一重であり、自分の強みのするか、弱みにするかは自分次第でもあります。
例えば、心配性ですぐ不安になってしまうといった弱みを抱えている人は、その反面、真面目さや責任感があり、それはその人の強みになります。
また、そういった衰退系の性格の人の方が、人の弱さに寄り添えるといった面もあると思います。
あなたは自分の強みや弱みを知っていますか?
今の自分にコンプレックスを抱えている人は多いかもしれません。
しかし、見方や視点を少し変えてみると、自分の弱みが強みに変わるきっかけとなるかもしれませんね。
渋沢栄一のお金に関する名言
しかし儲けることに熱中しすぎると、品が悪くなるのも確かである。
金儲けにも品位を忘れぬようにしたい。
品位とは高尚な美しさや上品さを表す言葉であり、自然と備わっている心の高さを意味します。
自分の私利私欲のために儲けに走ったり、他とのバランスを考えずにとにかく自分の会社や懐だけに儲けが入ってくればよいといった考えでは、確かに品が悪くなりますし、様々な歪みが生じ長続きはしないでしょう。
道徳心と慈愛の心を持って社会のために行動する人は、決してお金儲けに走らないと考える人もいるかもしれませんが、そうではないと渋沢栄一は言っています。
多くの経営者は、「お金儲け」と「社会貢献」を両立しています。
お金が儲かることはあくまで結果であり、それが本来の目的ではありません。

筆者の友人に、地方大手塾を経営していた方がいますが、その方は常に社会や世界が良くなるにはどうするかといったことを口にしていました。
その塾の方針も、人を育てることに最も重きを置いていました。
自分の懐も豊かになり、社員の懐も豊かになり、社会も豊かになっていくシステムや組織を考えると、その友人が言っていたことが今でも心に残っています。
渋沢栄一の論語と算盤に関する名言
渋沢栄一の名著『論語と算盤』の考え方の根源にもなっている名言です。
『論語と算盤』では、倫理(道徳)と、経済(利益)は両立できるという考え方が示されており、この考え方は、現代の経営者やビジネスパーソンにとっても重要な課題です。
渋沢栄一は、富を永続させるには、道徳と経済という、まったくかけ離れた2つを融合させることが必要だという考えを持っていました。

筆者にとっても、近年の物価高騰や世界の経済状況から、「お金」というのは人生において重要なテーマの一つです。
我が子に、経済の仕組みや、お金の流れ、時間と労力を賃金に換えるだけが稼ぐ方法ではないことなど、教えたいことは山ほどあります。
その中で、神器道徳といった人間の精神の次元に焦点を当てたこの名言は、まったく新しい視点でした。
自分も勉強しながら、「富を永続させる」という壮大なテーマに向き合っていきたいです!
自分の利益しか考えない人と、自分も他人も利益を得られるようにと考える人のどちらが優れているかは明らかですよね。
利益獲得ばかりを争い、業界や社会の発展を考えなければ、その社会は長続きせずにいずれ衰退していきます。
限られたパイを取り合うのではなく、そのパイ自体を大きくすることを考えるのですね。
渋沢栄一の夢七訓に関する名言
理想なき者は信念なし
信念なき者は計画なし
計画なき者は実行なし
実行なき者は成果なし
成果なき者は幸福なし
ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず。
人生において夢とは、目標や使命を発動するための原動力になります。
これは、夢を抱くことが、自分の人生において重要であることを階層的に伝える名言です。
何かを具現化するための土台となっているのは、その人の心であり、目に見えるものではありません。
この名言で言う幸福とは、自分の人生における使命を達成するという意味での幸福で、快苦の感情では表せない深いものです。
あなたにとっての幸福とは何でしょうか。
日常的なささいな幸せから、人生単位での生まれてきた所以ともつながるような深い幸福感まで様々あると思います。
自身の内側と対話することで、「幸福」の深度を深められるかもしれませんね。
渋沢栄一の道徳に関する名言
世の中全体が、誰もが幸せになるための心の持ち方を、渋沢栄一は、この名言を通して教えてくれていますね。
一切の私心をはさまずに物事にあたり、 人に接するならば心は穏やかで余裕を持つことができるのだ。
この名言では、心の平穏と思いやりとの間には深い関係性があることを表しています。
思いやりとは、単なる言葉や行動ではありません。
その奥には心の穏やかさがあり、自身の心の調和がとれているからこそ、相手のことを考える余裕にもつながるのかもしれません。
その逆も然りで、相手のことを考え、思いやりを持つことで、自然と心は穏やかになっていく場合も多いです。
常に他社の幸せを考えてきた渋沢栄一らしい名言ですね!
世間の信用を得るには世間を信用することだ。個人も同じである。
自分が相手を疑いながら、自分を信用せよとは虫のいい話だ。
これは、自ら心を砕き、相手や世間を信じることの大切さを伝える名言です。
人と本心で関わり合えなかったり、心を開ける人が周囲にいないと悩んだりしたことはありませんか。
まずは、自分から変わることの大切さも、この名言は示唆しています。
その理想を実現するのが、人の務めである。
これは、ヴィジョンや青写真を描くことの大切さを伝える名言です。
ある目的を達成したいと思ったときに、現状を考えたうえで、実現できそうな理想を思い描く人もいるかもしれません。
しかし、一旦現状は横に置いておき、自分が目指している最も望ましい状態や状況、最高の状況というものを思い描いてみましょう。
渋沢栄一も、数々の理想を実現してきました。

心に思い描くことから、夢への実現は始まっているのですね。
貧賤を憂えてはならない。
ただ知識を磨き、徳を高めて、真の幸福を求めようとすること。
この名言では、裕福なことに驕りの気持ちをもってはならない、また、貧しいことに対して憂いてはならないと伝えています。
さらに、そういった貧富の現状に対して一喜一憂するのではなく、知識を磨き、徳を積んで、「真の幸福」を求めて毎日を生きることが大切だとしています。
この名言は、言葉や行動に誠意や慎みを持つ事の重要性を伝えています。
他者との接し方において、思いやりを持ち、心の平穏を保って、広い心で物事に取り組むことの大切さを説いています。
人間関係で悩んだことのある人は多いのではないでしょうか。
出会う人の中には気の合う人もいればそうでない人もいますし、仕事などでは、苦手な人と関わる機会も少なくないでしょう。
どんな人を前にしても、心の平穏を保ち、誠意をもって接することができれば、人間関係で落ち込んだり悩んだりすることはグッと少なくなります。

筆者も、普段の仕事で様々な人と関わる機会がありますが、この名言を心において接してみようと思いました!
ほんのちょっとした言葉であっても、軽率に口にしてはならない。
禍福には、災難と幸福、不運と幸運という意味があります。
言葉にはエネルギーがあり、ほんのちょっとした言葉でも、それが災いのもとになりうることを伝えている名言です。

筆者の好きな言葉の一つに「中道を歩む」という言葉があります。
どんな事態に遭遇しても、心が揺れ動くことがなく、極端な行動や考え方を退け、調和を保とうとする生き方のことを指します。
自らを律するおまじないとして心にとめておくのもいいですね!
信を守らねばたちまち失敗す。
「信」には「信じる」「信頼」「誠実」といった意味があります。
人の行動や言葉を疑わずに受け入れること、関わる人に対して自分自身が誠実であることが大切ですね。
『智』『情』『意』とは「知性」「感情」「意思」の3つのことを意味します。
一つ一つ見ていきます。
「知性」とは、知識や思考を活用することであり、頭を使うこと。
「感情」とは、喜びや悲しみ、怒りなどのことであり、心で感じること。
「意志」とは、あることを成し遂げようとする積極的な意欲、精神力のこと。
私たちは、このバランスによって動いておりますが、この3つの強弱は人によって様々です。
この3つがバランスよく発達した人が、調和がとれ人間的ということになります。
いかにその人が富みを積んでもその幸福は継続されないではないか。
故に国家多数の富を致す方法でなければいかぬというのである。
個人の幸せや発展だけでなく、社会全体がより良くなることを一番に考えた渋沢栄一らしい名言です!
形の根底にはその人の心があり、それが具現化されたまでです。
時々、自らの心の在り方を省みると、また違ったものが見えてくるかもしれません。
普段、自分でも気づかないような習慣や癖が自然と出てしまうものです。
あの人は、なんであんなに輝いているのだろう、イキイキしているのだろう、愛に満ちているのだろうと感じたことはありませんか。
それは外面(形)ではなく、その人の内側からあふれ出る光そのものなのですから。
憧れを持ったり、変わりたいと思ったりしたときは、自分がすでにもう変わり始めている証です!
心を真似するとはどういうことか、答えのある問ではありませんが、じっくりじっくりと自分の中で温め、熟成させていくと、いつかその本意がわかるときが来るに違いありません。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
渋沢栄一の名言は、経営だけでなく、人と関わり合って生きる私たちに、相手や世界を信じて向き合うことの大切さを教えてくれました。
当サイトでは、他にも様々な偉人の名言を紹介しています。
渋沢栄一と同じ経営者で、人材育成に重きを置いた松下幸之助の名言を詳しく紹介していますのでご覧ください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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